「地下鉄のザジ」
2008.11.22 (Sat)
それはまるで、まだ “おませ” な少女だった頃の “ アメリ ” が、
口笛とともに、パリの人々に魔法をかけた夢のような36時間。
それから “ アルフレード ” は、ステキな魔法のとりこになって・・・?
『 地下鉄のザジ 』
( 1960年/フランス 原題:ZAZIE DANS LE METRO )
【監督】 ルイ・マル
【原作】 レイモン・クノー
【脚本】 ルイ・マル/ ジャン=ポール・ラプノー
【撮影】 アンリ・レイシ
【音楽】 フィオレンツォ・カルピ
【出演】 カトリーヌ・ドモンジョ/ フィリップ・ノワレ
/カルラ・マルリエ/ユベール・デシャン
/ヴィットリオ・カプリオーリ
今週は予想外の寒波の影響で、九州でも初雪が降りました。
福岡での11月の初雪は、なんと20年ぶりだそう!
晩秋を飛び越してすっかり真冬のような寒い夜は、ポップでファンタスティックな映画 もいいものです。
先日、NHKBSで前から観たかったこんな古い映画を放映していました。
それは・・・?
母親と初めてのパリにやって来た10歳の少女 ザジ ( カトリーヌ・ドモンジョ ) 。
彼女の一番のお目当ては、地下鉄に乗ること。
駅に迎えに来た優しい叔父の ガブリエル ( フィリップ・ノワレ ) の家に一晩あずけられたザジは、
ひとりで 地下鉄 に乗ろうと、こっそり部屋を抜け出すのですが、
肝心の地下鉄はあいにくのストで、全面運休。
がっかりした彼女は、そのまま パリの街 をブラつくことにするのですが・・・?
赤い丸首セーターに、グレーのプリーツスカートをひるがえし、
ニッと笑った隙っ歯とわかめちゃんようなおかっぱ頭は、
まるであの “ アメリ ” の少女時代はこんな風じゃなかったかと想像させるほど、
とても “おませさん” でキュート!
ザジ が歩けば、ついつい放っておけない大人たち。
声をかけたが最後、大人顔負けのおませな言葉に言い込められ、
追いかければ、そこらへんの通行人を巻き込んで大騒動を巻き起こす。
たとえば、エッフェル塔は、街いちばんの 観覧車 。
ひしめく車の渋滞は、ぐるぐる回る コーヒーカップ 。
ザジの目に映れば、パリの街は “ 巨大な遊園地 ” みたい。
そんなパリを眺めながら、 「 イカす街だわ! 」とつぶやく彼女こそ、
最高にイカした、小さな小さなマドモアゼル!
今から48年前の 1960年 に、パリの街であんなに大規模なロケが行われたんだ~なんて、
そんなところに感心してしまうわたしは、すでに童心をなくしてるかしら?(笑)
下町の食堂にショーウィンドウが並ぶアーケード街、昼の蚤の市に夜のネオン街・・・など、
スクリーンから飛び出しそうなほど活き活きと描かれた当時の町並みや人々の暮らしぶりは、
実にポップでエネルギッシュ。
次から次へと繰り出される小技の効いたユーモアにも、思わず噴出さずにはいられません。
また、ラインダンスも披露しちゃう、ちょっぷり太目の若々しい フィリップ・ノワレも、
かなり新鮮でカワイイのです(笑)。
特に、ちょっとした小物たちの見せ方や使い方は、絶品!
ザジ が手に取っただけで 古ぼけた長靴がオルゴール に見えたりと、
レトロでポップなファッションやインテリア も、見ているだけで本当に楽しい気分になれます。
ハッとさせられるアイデアがいっぱい詰まった演出としゃれた映像は、今でも充分目を楽しませてくれました。
ちなみに・・・ 1960年 といえば ( わたしも生まれていませんが )
・ 安保条約反対闘争が激化
・ 皇太子(浩宮)様ご誕生
・ 大統領選でケネディがニクソンを僅差で破る
・ 「 だっこちゃん人形 」 が大ヒット商品に
・ 「 家つき、カーつき、ババア抜き 」 が流行語に
・ 石原裕次郎と北原三枝が結婚
・・・などが主な出来事だそう。
そんな時代に、もうこんな作品が存在していたなんて、すごいですね。
監督は、ヌーヴェルバーグの先駆者、ルイ・マル 。
わたしは 『 死刑台のエレベーター 』 しか観たことがありませんでしたが、
あんなに心とろかす悲哀に満ちた作品の3年後に、こんなに正反対の楽しい作品を撮れてしまうなんて、
今更ながら監督の引き出しの多さに感銘を受け、もっと他の作品を観てみたいという気にさせられました。
『 地下鉄のザジ 』 は・・・
まるで、まだ “おませ” な少女だった頃の “ アメリ ” が、
口笛とともにパリの人々に魔法をかけた、夢のような36時間。
それから “ アルフレード ” は、ステキな魔法のとりこになって・・・
いつまでも子供達に “ 「 映画 」 という夢 ” を与え続けたのでしょう。
きっと今頃は夜空の上で、 新しい映画の楽園 を築いているのかもしれませんね。
11月23日 は、昨年逝った フィリップ・ノワレの命日 。
今年も心からご冥福をお祈りしたいと思います。
→フィリップ・ノワレ関連記事へ(その1)
→フィリップ・ノワレ関連記事へ(その2)
口笛とともに、パリの人々に魔法をかけた夢のような36時間。
それから “ アルフレード ” は、ステキな魔法のとりこになって・・・?
『 地下鉄のザジ 』
( 1960年/フランス 原題:ZAZIE DANS LE METRO )
【監督】 ルイ・マル
【原作】 レイモン・クノー
【脚本】 ルイ・マル/ ジャン=ポール・ラプノー
【撮影】 アンリ・レイシ
【音楽】 フィオレンツォ・カルピ
【出演】 カトリーヌ・ドモンジョ/ フィリップ・ノワレ
/カルラ・マルリエ/ユベール・デシャン
/ヴィットリオ・カプリオーリ
今週は予想外の寒波の影響で、九州でも初雪が降りました。
福岡での11月の初雪は、なんと20年ぶりだそう!
晩秋を飛び越してすっかり真冬のような寒い夜は、ポップでファンタスティックな映画 もいいものです。
先日、NHKBSで前から観たかったこんな古い映画を放映していました。
それは・・・?
More・・・
遠い街から汽車に乗って、母親と初めてのパリにやって来た10歳の少女 ザジ ( カトリーヌ・ドモンジョ ) 。
彼女の一番のお目当ては、地下鉄に乗ること。
駅に迎えに来た優しい叔父の ガブリエル ( フィリップ・ノワレ ) の家に一晩あずけられたザジは、
ひとりで 地下鉄 に乗ろうと、こっそり部屋を抜け出すのですが、
肝心の地下鉄はあいにくのストで、全面運休。
がっかりした彼女は、そのまま パリの街 をブラつくことにするのですが・・・?
赤い丸首セーターに、グレーのプリーツスカートをひるがえし、
ニッと笑った隙っ歯とわかめちゃんようなおかっぱ頭は、
まるであの “ アメリ ” の少女時代はこんな風じゃなかったかと想像させるほど、
とても “おませさん” でキュート!
ザジ が歩けば、ついつい放っておけない大人たち。
声をかけたが最後、大人顔負けのおませな言葉に言い込められ、
追いかければ、そこらへんの通行人を巻き込んで大騒動を巻き起こす。
たとえば、エッフェル塔は、街いちばんの 観覧車 。
ひしめく車の渋滞は、ぐるぐる回る コーヒーカップ 。
ザジの目に映れば、パリの街は “ 巨大な遊園地 ” みたい。
そんなパリを眺めながら、 「 イカす街だわ! 」とつぶやく彼女こそ、
最高にイカした、小さな小さなマドモアゼル!
今から48年前の 1960年 に、パリの街であんなに大規模なロケが行われたんだ~なんて、
そんなところに感心してしまうわたしは、すでに童心をなくしてるかしら?(笑)
下町の食堂にショーウィンドウが並ぶアーケード街、昼の蚤の市に夜のネオン街・・・など、
スクリーンから飛び出しそうなほど活き活きと描かれた当時の町並みや人々の暮らしぶりは、
実にポップでエネルギッシュ。
次から次へと繰り出される小技の効いたユーモアにも、思わず噴出さずにはいられません。
また、ラインダンスも披露しちゃう、ちょっぷり太目の若々しい フィリップ・ノワレも、
かなり新鮮でカワイイのです(笑)。
特に、ちょっとした小物たちの見せ方や使い方は、絶品!
ザジ が手に取っただけで 古ぼけた長靴がオルゴール に見えたりと、
レトロでポップなファッションやインテリア も、見ているだけで本当に楽しい気分になれます。
ハッとさせられるアイデアがいっぱい詰まった演出としゃれた映像は、今でも充分目を楽しませてくれました。
ちなみに・・・ 1960年 といえば ( わたしも生まれていませんが )
・ 安保条約反対闘争が激化
・ 皇太子(浩宮)様ご誕生
・ 大統領選でケネディがニクソンを僅差で破る
・ 「 だっこちゃん人形 」 が大ヒット商品に
・ 「 家つき、カーつき、ババア抜き 」 が流行語に
・ 石原裕次郎と北原三枝が結婚
・・・などが主な出来事だそう。
そんな時代に、もうこんな作品が存在していたなんて、すごいですね。
監督は、ヌーヴェルバーグの先駆者、ルイ・マル 。
わたしは 『 死刑台のエレベーター 』 しか観たことがありませんでしたが、
あんなに心とろかす悲哀に満ちた作品の3年後に、こんなに正反対の楽しい作品を撮れてしまうなんて、
今更ながら監督の引き出しの多さに感銘を受け、もっと他の作品を観てみたいという気にさせられました。
『 地下鉄のザジ 』 は・・・
まるで、まだ “おませ” な少女だった頃の “ アメリ ” が、
口笛とともにパリの人々に魔法をかけた、夢のような36時間。
それから “ アルフレード ” は、ステキな魔法のとりこになって・・・
いつまでも子供達に “ 「 映画 」 という夢 ” を与え続けたのでしょう。
きっと今頃は夜空の上で、 新しい映画の楽園 を築いているのかもしれませんね。
11月23日 は、昨年逝った フィリップ・ノワレの命日 。
今年も心からご冥福をお祈りしたいと思います。
→フィリップ・ノワレ関連記事へ(その1)
→フィリップ・ノワレ関連記事へ(その2)
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2008.11.23(日) 00:44 | |
【編集】
★オルサさん、こんばんは!
そして、いや~お恥ずかしい。気がついてくださってありがとうございますっ。(汗)
NHKBSは結構良い映画がセレクトされていますよね。ムービープラスと同じく外せません(笑)
ええ、ぜひご覧になってみてください!ユーモアのセンスは抜群ですよ。
録画されているといいですね~。
現在の様々な演出の手法がこの作品に影響されているのかなと思う場面がたくさんあって
そんな見方をしても興味深いです。
クレラップの女の子、そうそう、その通りですね!
わかめちゃんしか思いつかなかったけれど、オルサさんのコメントで目からウロコガ落ちました(笑)
そして、いや~お恥ずかしい。気がついてくださってありがとうございますっ。(汗)
NHKBSは結構良い映画がセレクトされていますよね。ムービープラスと同じく外せません(笑)
ええ、ぜひご覧になってみてください!ユーモアのセンスは抜群ですよ。
録画されているといいですね~。
現在の様々な演出の手法がこの作品に影響されているのかなと思う場面がたくさんあって
そんな見方をしても興味深いです。
クレラップの女の子、そうそう、その通りですね!
わかめちゃんしか思いつかなかったけれど、オルサさんのコメントで目からウロコガ落ちました(笑)
再びお邪魔します。確認したところ、録画してなかったんです、残念ながら。
しかし、12月の番組表を見たところ、12月16日(火)午後1時からNHK-BS2で放送されるようです。あ~よかった。今度こそは絶対録画します!!!
しかし、12月の番組表を見たところ、12月16日(火)午後1時からNHK-BS2で放送されるようです。あ~よかった。今度こそは絶対録画します!!!
★オルサさん、そうですか、12月に再放送が!よかったですね。
NHKの再放送で、わたしも何度か救われたことがありますよ(笑)
これから年末にかけて“希望を捨てない少年達”や“永遠のスター・ポール・ニューマン特集”など
予定されているようなので、今からとても楽しみです。
『地下鉄のザジ』、ご覧になりましたらまた感想聞かせてくださいね。
NHKの再放送で、わたしも何度か救われたことがありますよ(笑)
これから年末にかけて“希望を捨てない少年達”や“永遠のスター・ポール・ニューマン特集”など
予定されているようなので、今からとても楽しみです。
『地下鉄のザジ』、ご覧になりましたらまた感想聞かせてくださいね。
明けましておめでとうございます。
昨年は大変お世話になりました。
すっかり忘れてましたが、この映画、だいぶ昔(エントリーは2004年になってますが、文章自体は移転前に書いているので、たぶん6年くらい前)にUPしていました。
なんといっても、1960年に撮られたということにびっくりですよね・・・。
あまり詳しくは覚えていないんですが、トルースカイヨンとの追いかけっこがお気に入りでした。
ラストの、「何してたの?」「年とったわ」も名台詞でしたね。
それでは、本年も宜しくお願い致します。
昨年は大変お世話になりました。
すっかり忘れてましたが、この映画、だいぶ昔(エントリーは2004年になってますが、文章自体は移転前に書いているので、たぶん6年くらい前)にUPしていました。
なんといっても、1960年に撮られたということにびっくりですよね・・・。
あまり詳しくは覚えていないんですが、トルースカイヨンとの追いかけっこがお気に入りでした。
ラストの、「何してたの?」「年とったわ」も名台詞でしたね。
それでは、本年も宜しくお願い致します。
★micchiiさん、お返事が大変遅くなってしまって本当にごめんなさいっ!
>「何してたの?」「年とったわ」
あの台詞で全てがキュッと締まった、名シーンでしたよね。
そうですか、前にレビューを!それはぜひ拝見させていただきますね。
あの年代にあんなアイデアをもって撮っていたことに脱帽しました。
昨年はこちらこそ本当にお世話になり、ありがとうございました。
年末からいろいろなことを思い出し、まったく筆が進まなかったのですが、
本日父の一周忌を終えて大きな節目を迎えた気持ちです。
今年もお互いに良い作品とたくさんめぐりあえますように!
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
>「何してたの?」「年とったわ」
あの台詞で全てがキュッと締まった、名シーンでしたよね。
そうですか、前にレビューを!それはぜひ拝見させていただきますね。
あの年代にあんなアイデアをもって撮っていたことに脱帽しました。
昨年はこちらこそ本当にお世話になり、ありがとうございました。
年末からいろいろなことを思い出し、まったく筆が進まなかったのですが、
本日父の一周忌を終えて大きな節目を迎えた気持ちです。
今年もお互いに良い作品とたくさんめぐりあえますように!
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
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ザジのような、おしゃまで行動力のある女の子、大好きです。ケストナーの「点子ちゃんとアントン」の点子ちゃんや、クレラップのCMに出てくる女の子もこのタイプですよね。。
さっそくDVDのHDを確認してみます。録画してあることを祈りつつ。