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「 ロゼッタ 」

2006.05.20 (Sat)

ある少女、 ロゼッタ ー。
彼女が欲しかった 「 まっとうな生活 」 とは、トレーラーじゃない部屋に住み、
毎日同じ時間に、同じ仕事に出かけ、ナイフとフォークで食事をすること。 他には何も望まない。
ただ、ただ、それだけのことだったのに、それさえ叶えられなかったのは、何故だったのだろう?

ロゼッタ ( 1999年/ベルギー・フランス合作 原題:ROSETTA )
【監督】 リュック=ピエール・ダルデンヌ/
     ジャン=ピエール・ダルデンヌ (ダルデンヌ兄弟)
【出演】 エミリー・ドゥケンヌ/アンヌ・イェルノー
     /ファブリッツィオ・ロンギーヌ/オリヴィエ・グルメ




17日から開幕した、カンヌ映画祭。
昨年のパルムドールは、ある子供 で2度目の栄冠に輝いた ダルデンヌ兄弟
そして、彼らが初めてパルムドールを手にしたのは、1999年のこの作品でした。それは・・・?

More・・・

あんな終わり方をするとは思いませんでした。
「 さぁ、あなた方は、この現実をどう見ますか? 」
まるで、監督の ダルデンヌ兄弟 に、そう突き詰められた気分。
ラストシーンをポーンと丸投げされてしまった私は、無音のエンドロールを見つめながら、
しばし考え込んでしまいました。

1999年カンヌ国際映画祭 で、最高賞パルム・ドール女優賞 を獲得した、この作品。
当時、カンヌの会場で試写をみた審査員は、皆きっと、こんな気分じゃなかったかと思うほど。
この作品が放つ、「 生きる 」 ことの根本的な意味 を問う、骨太の力強さはなんだろう?
胸に食い込んだ無言の衝撃と同時に、わたしを包んだ ひとすじの希望 の光。
あの時の、言葉にならない震え立つ感動は、今でも忘れられません。



同じような衝撃を受けた作品に、是枝監督誰も知らない がありました。
「 どう生きるかではなく、生き方の選択肢を与えられないということ。 」
私は以前、感想にそう書きましたが、 ( → 「 誰も知らない 」 レビューへ )
あの映画に登場する子供たちよりも、ロゼッタ はもっと大人で、
しかも 生き方 に対して誰よりも貪欲でした。


ファースト・シーンは、彼女が職場を突然解雇されるところから始まります。
一方的にクビを宣告され、大暴れする ロゼッタ
彼女は、男と酒に溺れたアル中のだらしない母親と共に、
グラン・キャニオン と呼ばれるキャンプ場での、トレーラー暮らし の毎日。
生活費を稼ぐため、古着を繕っては売りに行っても、お金になるのはほんのわずか。
どんなに真面目に働いても、納得できない理由でいつも辞めさせられてしまうのは、
そんな身元不特定な理由があったのかもしれません。
それでも、働きたくて働きたくて働きたくて、彼女は職探しに走りまわります。
とにかく、よく走る。走る。走る。
そこからは、体の内側からほとばしるような若いエネルギーと、生命力がみなぎっていました。
ある意味、それは人間の本能なのかもしれません。


しかし、ロゼッタ が求めていたのは、同情 ではありませんでした。
母親が恵んでもらった肉の施しも、区役所で生活保護をすすめられても、頑なに拒否。
それは、「 生きる 」 ことは、自分が働いた糧で 「 自立 」 することだという、
彼女の 誇り がそうさせていたように思えてなりませんでした。
ですから、ただ 生きる のでは、意味がないのです。
そこには、残飯を食い荒らす動物とは違う、
「 人間として生きる意味 」 が強く込められていた気がします。

やがて、ロゼッタ にもひとりの友達ができます。
彼は、街角にあるワッフルの売店で働く、心優しい青年。
彼の口ききで、同じ店で働くことになった、ロゼッタ 。
しかし、それもたった3日で解雇されてしまいます。
どうしようもない母親を養い、一生懸命働いて、努力して仕事も覚えたのに、なぜー?
その時、彼女の中でずっと保ち続けた何かが、途切れました。
そして ロゼッタ は、「 仕事 」 を得るために、ある決定的な行動に出てしまうのです・・・。



この先は、ぜひ皆さんの目でご覧になってみて下さい!
ただ、手持ちカメラの映像は、人によっては少し見にくいと思われるかもしれませんが、
時には、背後から彼女の目線を追い、時には、寄りすぎるほど接写して、
飛び散る汗やその吐息、はずむ鼓動さえ感じるほど、
人間 を容赦なく追いかけ、実にリアルに見せてくれます。

そして、ドーンと突き放されて、言葉も出ない緊張感に包まれた、ラストシーンー。
たたみ掛けるような不幸の連続に、もしも生きる希望を見失いそうになったなら、
もしも、辛すぎて立ち上がれなくなったなら、貴方は素直に誰かの手を借りればいい。
「 自立 」 することと、「 ひとりで生きる 」 こととは違うのです。
ロゼッタ は、その真っ直ぐな瞳で、わたしの心にこう語りかけた気がします。

「 貴方が “ 人間 ” であるならば、
生きる希望 から、決して目を背けてはいけない 」
とー。

カンヌから、ダルデンヌ兄弟の名を世界に知らしめた ロゼッタ は、
とことん泥臭く、淡々と追い続けた日常の中に見出した 「 人が生きる意味 」 を、
力強く、愛を込めて描いた衝撃作。

さぁ、今年は一体どんな作品がパルムドールの栄冠に輝くのでしょうか?
今からとても楽しみですねっ!

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テーマ : 映画祭・各賞 - ジャンル : 映画

10:04  |  フランス映画  |  Trackback(0)  |  Comment(4)

Comment

しんどいけれど、引き受けるべき映画

オーソドックスなエンタメが好きな私としては、好きではありません。できれば観ずに済ませたい種類の映画です。実際、通常感じる面白さはありませんでした。
しかしながら、画面からの“訴求力”は只者ではなかったですね。

実在の人物を取材したドキュメンタリーだと現実のディティールに注意が行き過ぎてしまい、こんなにシンプルな力感は生まれないと思います。その意味でフィクションならではの醍醐味を生かしていると思います。
友だちが落ちた沼から離れた5秒程の描写には凄みがあって圧倒されました。

私にとって、観るのが大変しんどい種類の映画ですが、同時代にこの映画を創作した作家がいるということ、その画面の力は引き受けるべきものだと思いました。

それにしても、このページは他にコメントがないのですね・・・。
kaoru1107 |  2006.11.24(金) 21:34 | URL |  【編集】

こちらにも・・・

★kaoru1107さん、貴重な第一号コメントありがとうございますっ!
そうなのですよ、この作品のテーマが重いからか、わたしの記事に力が入りすぎたのか(笑)、
どなたからもコメントを頂けなかったので、書き込みとても嬉しいです!
ダルデンヌ兄弟は確かにとてもしんどいテーマを投げかけたと思います。
わたしの衝撃もとても大きいものでした。

>同時代にこの映画を創作した作家がいるということ、その画面の力は引き受けるべきものだと思いました。

そのお言葉を読んで、カンヌでパルムドールが与えられたことの意味を改めて考えました。
記事中にも書きましたが、『誰も知らない』もできれば避けて通りたい映画に入るかも知れません。
ですが、やっぱり映画という手段を使ってでも伝えたい現実があるという思いは、
受け入れるべきことではないかと感じています。
Carolita |  2006.11.26(日) 17:09 | URL |  【編集】

再びの感動!

Crolitaさん、こんにちは♪
フランス映画に対する意識を変えてくれた作品でした。
と言うほどたくさん観ている訳ではないのですが(汗)
『イゴールの約束』も印象的でしたが今作も衝撃を受けました。
社会の理不尽さに対してこの兄弟監督のアプローチの仕方には
本当に揺り動かされるばかりです。
ずいぶん以前に観た作品でしたが
Crolitaさんの説得力のある素敵な文章を読んで
再び感動が蘇って来ました!!

>もしも、辛すぎて立ち上がれなくなったなら、貴方は素直に誰かの手を借りればいい。
「 自立 」 することと、「 ひとりで生きる 」 こととは違うのです。
監督達がどんなにか喜ぶレビューでしょう!!
fizz♪ |  2007.01.21(日) 01:29 | URL |  【編集】

★ fizz♪さん、こんにちはっ! コメントありがとうございますっ♪
>フランス映画に対する意識を変えてくれた作品
うんうん、なんだか分かる気がしますっ。
( わたしも大して見ているわけではないんですけどねっ笑 )
これを観た時の衝撃といったら・・・! 

説得力のある文章だなんて、恐縮ですっ。
いつも一方的に思ったことを書き殴ってしまうんですが、
皆さんはどう感じたんだろうって思うんです。
だけど fizz♪さんのように共感してくださる方に出会えるのが、
何よりの楽しみなんですよ!
この作品は書かずにはいられなかった気にさせられました。
やっぱり作品がスゴイってことですよね!

そうですか、『イゴールの約束』も衝撃的な内容なのですね~っ。今度探してみます!
先日『ある子供』を観たので、そのうちアップしたいと思いますっ♪
Carolita |  2007.01.21(日) 16:11 | URL |  【編集】

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