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「パンズ・ラビリンス」

2007.10.17 (Wed)

人間にとって一番残酷なことは、夢みる力 を奪われることかも知れないー。

パンズ・ラビリンス
( 2006年/スペイン・メキシコ・アメリカ 原題:EL LABERINTO DEL FAUNO/PAN'S LABYRINTH )
【監督・脚本】 ギレルモ・デル・トロ
【撮影】 ギレルモ・ナヴァロ
【衣装デザイン】 ララ・ウエテ
【音楽】 ハビエル・ナバレテ
【出演】 イバナ・バケロ/セルジ・ロペス/マリベル・ベルドゥ
     /ダグ・ジョーンズ/アリアドナ・ヒル/アレックス・アングロ



さて、その感想は・・・? (ネタバレはありません)

More・・・

時は、1944年。 独裁者 フランシスコ・フランコ政権 下のスペイン。
内戦の火種がくすぶり続ける山奥を走る一台の車の中に、一組の母娘 の姿が。



戦争で父を亡くした 少女 オフェーリア は、身ごもった 母親カルメン に連れられて
新しい父親のもとを訪れます。 待っていたのは、多くの部下を引き連れ、
レジスタンス狩りのために森の山小屋に潜む、ビダル将軍  。

顔色ひとつ変えず捕虜への拷問を繰りかえす冷酷な義理父に、
ひたすら怯え、寂しい毎日を送るしかないそんなある日、
オフェーリア は、森の中に地下へと続く洞穴を見つけてしまいます。

それは、禁断の迷宮 への入り口。 
妖しい妖精たちのささやきに導かれ、少女は 「 Pan's Labyrinth~パンの迷宮 」 へと
足を踏み入れるのですが・・?



→「パンズ・ラビリンス」公式サイト(英語)
→「パンズ・ラビリンス」公式サイト(日本語)
→関連過去記事 2007.2.18 「オスカー予習編その1」


少女オフェーリア が生きたのは、スペインの歴史を紐解く上で消し去ることのできない、
暗く閉ざされた時代でした。 すべての光が遮られ、ファシズムの厚い雲が覆うその下で、
悲鳴と共に繰り返される、弾圧と抵抗。

暗がりの劇場のシートで、緊張のあまり何度も鼓動が早くなるのを感じながら、
何度も何度も目を背けてしまった、生々しい血みどろの拷問シーン・・・。

そんな中、少女が唯一心のよりどころとしたのが、物語の世界 でした。
しかし、ここに描かれる 「 夢の使者 」 は、魔法使いでも、凛々しい王子様でもありません。
ここからが、パンズ・ラビリンス が絶賛される、ダーク・ファンタジー の真骨頂。

まるで、少女がおかれた悪夢のような現実をそのまま投影しているとも思える
邪悪で摩訶不思議な映像世界 は、かつて経験したことのない、息を呑む美しさ。 
太古の迷宮に潜む不気味でグロテスクなキャラクター達も、恐ろしいのに目が離せない!
奇才といわれる ギレルモ・デル・トロ 監督の頭の中をのぞいてみたくなるほど、
ショックと同時に、その妖しい世界に魅せられずにはいられませんでした。





パンズ・ラビリンス を観た帰り道、
わたしは子供の頃に胸をワクワクさせながら読んだ 童話 のことを思い返しました。

これを読んだら眠ると約束して、母にせがんだ 「 シンデレラ 」「 白雪姫 」
柔らかな語り口に目を閉じて、絵本に登場する森の様子やお姫様のドレス、
王子さまの優しい笑顔を思い描きながら眠りにつく、幸せなひと時・・・。
人間の夢や想像力 は、そうやって少しずつ育まれていくものなのかもしれません。

しかし、大人になって知った 童話の真実 は、どれも幸せな結末ばかりではありませんでした。
「 シンデレラ 」 は、自分をいじめ抜いた姉達の目をハトにくりぬかせ、罰を与えます。
「 白雪姫 」 は、継母を焼けた鉄の靴をはかせて殺してしまいます。

「 悪い子には、罰をー。 」
残酷な物語から、わたし達は一体何を読み解くのか。
何世紀前も前から存在し続ける ダーク・ファンタジー が語り継ぐのは、
甘美な幻想ではない この世の現実そのもの であるように思えてなりません。

人はある時を境に、嫌でも 人生はおとぎ話ではない ことを悟らされます。
悲しみに打ちひしがれ、精神の許容範囲をはるかに超えた惨い現実に心を引き裂かれ、
死を選びたくなることもあるでしょう。
けれど、それでも命ある限り、人は生きていかなければならないー。
そのために神様が人間だけに与え給えたのが、想像力 だと思うのです。

夢をみる力は、生きる力を与えてくれる。 生きる勇気を与えてくれる。

たとえ束の間であったとしても 「 幸せな自分の姿 」 を夢見ることで、
人は悲惨な現実に生きながらでも、一筋の希望 を見出すことができるのかもしれない。
おとぎ話を信じ続けた少女の一途さは、今でもわたしの胸を締めつけます。




子供の頃、不幸なお話を読んだ後は、なんとも切なくやるせない気持ちになったものです。
この作品を観てあの時と同じ気持ちになったのは、
劇中に流れる、あの 悲しげな子守唄 のせいでしょうか。

すっかり大人になったつもりで失くしたと思っていたけれど、
わたしの中に、まだ残っていたのかな。 
物語に、ただただ無心になれる 無垢な心 が。

パンズ・ラビリンス は、ファンタジーのあるべき姿 を見事に現代に甦らせた、
「 王道の冠 」 に値する一本。

気高くて恐ろしく、純粋で残酷な禁断のページを、さぁ貴方も劇場で開いてみませんか?

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テーマ : 映画感想 - ジャンル : 映画

23:25  |  スペイン映画  |  Trackback(2)  |  Comment(4)

Comment

こんばんは

こんばんは!記事をアップされるの、心待ちにしていました~。
ファンタジーを謳っているとは言え、「本当は恐いグリム童話」的な
血なまぐささがありましたね。
恐いのが苦手な私はかなりビビりつつ見ていたんですが、それでも
その個性的なクリーチャー達と、恐ろしくも美しい世界に見せられて
堪能することができました。
あの子守唄は、妙に心に残るものがありますね。
そうそう、『ヘアスプレー』もご覧になったんですね!
こちらも早く観たい~。
Nyaggy |  2007.10.21(日) 20:42 | URL |  【編集】

★ Nyaggy さーん、こんばんはっ♪
やっぱりすぐにご覧になられたんですね!

そうそうっ、痛くてグロいシーン満載でしたよね~っ(笑)
思ったよりもずっとストーリーがシンプルだった分、
その妖しい世界観に酔える余裕ができて、最後まで夢中で見てしまいました。

だけど、今でも分からないことがあるんですよ。
あれは本当に現実だったのか、幻だったのかって・・・。
見終わってそんな風に思うのは、大いに想像力をかきたてられた証拠かな?(笑)
久々に上質の怖い童話に出会えた気分です!
Carolita |  2007.10.21(日) 22:30 | URL |  【編集】

こんばんは、ヤンです。

お久しぶりです。
確かに、あれは現実だったのか、まぼろしだったのか、、、
それでも、最後のあのシーンは幻だとは思いたくはない、
と思いました。

それと、私も最初は、Carolitaさんのような感想を持ちましたが、
「ファシズム否定」という観点で見ると、違った印象を持つ映画であるとも、
後から気づきました。

それじゃ、また。
ヤン |  2007.11.09(金) 00:40 | URL |  【編集】

★ヤンさん、こんばんはっ♪ こちらこそご無沙汰していますっ。
そうですね、本当にあれは幻だとは思いたくないですよね。
だけど、それがこの世の現実かもしれないとも思います。

独特な世界観の中に目を奪われますが、童話の王道をきちんと踏んだシンプルさには、
素直にひきこまれました。
そして見終わってしばらくは、なんともいえない切なさでいっぱいにもなりました。
だから心のどこかで「おとぎ話」として見ていたい気持ちが強かったのかなぁ。

なるほど、ヤンさんがどのように感じられたのか、とても興味深いです!
さっそくおじゃまさせていただきますねっ。
Carolita |  2007.11.10(土) 20:56 | URL |  【編集】

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監督・脚本: ギジェルモ・デル・トロ キャスト: イバナ・バケロ セルジ・ロペス マリベル・ベルドゥ ダグ・ジョーンズ アリアドナ・ヒル アレックス・アングロ2006 メキシコ スペイン アメリカ ■Story
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