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『 グラン・トリノ 』

2009.04.25 (Sat)

皆さんお久しぶりです。 お元気でお過ごしでしょうか?
最近何かと忙しく、ずいぶんご無沙汰をしてしまい申し訳ございませんっ。

そんな 『 Caroli-ta Cafe 』 ですが、おかげさまでまもなくスタートから 4周年 を迎えます。
現在ブログリニューアルに向けて準備中ですが、記念日直前に
とうとうこの作品が公開されたとあっては、書かないわけにはまいりません!

グラン・トリノ
( 2008年/アメリカ 原題:GRAN TORINO )
【監督】 クリント・イーストウッド
【製作】 クリント・イーストウッド
     / ロバート・ロレンツ/ビル・ガーバー
【脚本】 ニック・シェンク
【音楽】 カイル・イーストウッド
    /マイケル・スティーヴンス
【出演】 クリント・イーストウッド/ビー・ヴァン
     /アーニー・ハー/クリストファー・カーリー


俳優としては最後の出演作となるだろうと
いわれているこの作品。
観た感想をアップしたわたしが言うのもなんですが・・・


どうか、 わたしのレビューを読まずに映画館へ足を運んでいただきたいのです。

今回だけは、あえてご覧になられた後にお読み頂いていると想定して書いております。

この先は、それでも気になる方のみお読みくださいませ。(ネタバレあります!)

More・・・

暗がりの映画館で、まるで不意打ちをくらったかのように止まらない涙、涙、涙・・・。

イーストウッドの出演作を観て、
あんなに肩で息をするほど泣いたことはこれまでありませんでした。


グラン・トリノ でイーストウッドが演じたのは、主人公の ウォルト・コワルスキー
朝鮮戦争を経験した元軍人で、退役後はフォード工場の自動車工を長年勤め上げ、
最愛の妻の葬式では新米神父に悪態をつき、息子夫婦との同居も頑なに拒んで、
いまや孫たちでさえ近寄らない、頑固で偏屈な老人。

そんなある日、ウォルトが住む一軒家の隣に アジア系のモン族一家 が引っ越してきます。
苦虫を食らったように異文化の習慣を疎ましく思うウォルトが、唯一大切にしているのが、
1972年に自らステアリングを取り付けたヴィンテージ・カー、グラン・トリノ

ある夜、誰もが憧れるその愛車を盗みに入った泥棒に ウォルト がライフルを突きつけると、
それは隣に住む少年だったのでした。
学校にも行かず、仕事もなく、夢もない少年 タオ ( ビー・ヴァン )
それから、2人の不思議な関係がはじまって・・・?




クリント・イーストウッド の出演作で、大好きな作品はたくさんあります。

例えば、タフなガン・ファイト。

例えば、眉をひそめる、あの仕草。
 

わたしにとっては、たったそれだけでファンを唸らせる、生粋の大スター。

そんな彼の久々の出演作は、自らの 老い を逆手にとったユーモアに溢れていました。


俳優にとって加齢は大きなリスクのはず。 それさえ自ら楽しんでいるような茶目っ気で、
とことん可愛げのない 究極のガンコジジイっぷり は、
あのイーストウッドだからこそ笑えてしまう、シニカルで熟成された上質の喜劇。

しかも寡黙なタフさだって、もちろん健在です。 
80歳間近で更なる凄みと貫禄を増し、シワだらけの手でゆっくりと裸の銃をかまえれば、
小僧も思わず息を呑む。

未知なる異文化・モン族との遭遇も、 “ピー”が連発しそうな毒舌(笑)もコミカルで微笑ましく、
ウォルトタオ の間に少しずつ信頼関係が育まれていくうち、
劇場全体は自然と穏やかなムードに包まれていきました。

しかし、そんな観客の思いとは裏腹に、ストーリーは徐々に緊迫感を増しながら、
思いもよらない結末へ と加速していくのです。




グラン・トリノ は、主人公ウォルトが大切にしている伝説の名車のこと。
それは、イーストウッド本人を象徴しているかに見えました。

まるで、自ら、
「 “俳優クリント・イーストウッド” とは、時代遅れのヴィンテージ・カーみたいなものだ 」
と皮肉らんばかりに。

かつて、一世を風靡したその美しいボディラインとその走り。
時の経過とともに、丁寧に磨き上げられた輝きは渋さと深みを増し、
何よりも大切に乗りこなされ、人の手が加え続けられた温かみと味わいは、
そんじょそこいらの新車では太刀打ちできない、誰もが憧れる 「 古き良き時代 」 の象徴・・・。

俳優 という仕事も、ある意味それに似ているのかもしれません。



高度成長期の日本でも一大ブームを巻き起こした、ローハイド

“ マカロニ・ウェスタン ” のパイオニア、荒野の用心棒夕陽のガンマン

体中に電流が流れたくらいシビレた、 ハリー・キャラハン

鳥肌ものの緊張感で、監督としての頭角を表した、恐怖のメロディ

心臓をバクバクさせながら息を殺して見つめた、アルカトラズからの脱出

トラック野郎といえば、菅原文太とコレでしょう、ダーティファイター

毎週楽しみにしていた洋画劇場で観た、ブロンコビリーピンクキャデラック

刑事役がやっぱり似合う、トゥルー・クライムザ・シークレット・サービス

オヤジの魅力を逆手にとった、目撃スペース カウボーイ

雨の中立ちすくむシーンが忘れられない、マディソン郡の橋

監督として地位と名声を不動のものとした、
ミスティック・リバーミリオンダラー・ベイビー 』、 『 硫黄島2部作

そして、今となってはおそらく最後の西部劇となるだろう、許されざる者・・・。


20歳の頃には陸軍入隊を経験し、イタリアへ招かれた 『 荒野の用心棒 』 が大ヒット。
『 ダーティハリー 』 でドル箱スターに躍り出て、2年間はカリフォルニア州カーメル市長に就任。
2度もオスカー監督に輝いて、しかも79歳にして現役俳優。
これだけの積み上げてきたキャリアが、イーストウッドを映画人としてだけでなく、
“人” として磨きあげてきたのでしょう。 

長年、彼の出演作や監督作を見ていると、この人は老いれば老いるほど、
携わった作品から何かを得て、伝えたいことが内側から溢れて仕方がないんだろうと
思えてきます。

しかし、グラン・トリノ で演じたウォルトは、とても対照的でした。

枯れることのない彼の心とは裏腹に、周囲が彼を見る目とのギャップ。
人として何かを求められるより、楽することばかりすすめられる毎日。

たとえ血のつながった家族であっても、いつからか対等な話し相手ではない、
“リタイアした老人 ” として接せられていることに気がついてしまう日。
それはきっと、誰もが老後を迎えた時、愕然とする瞬間なのかもしれません。




生涯現役という言葉がありますが、世代交代の波は必ずやってくる。
自分だけにわかる精神と肉体とのギャップは、彼に残された時間を告げているようです。

そんな中、年齢も国籍も人種も性別も飛び越えて
コワルスキーと正面から向き合った若者達がいました。

孫のような彼らから学び、彼らに授けることの喜びを知った主人公。
「人の心」を開くものも、やはり「人の心」なのでしょう。

未来を受け継ぐ者を認めたなら、彼らのために最後に自分には何ができるのか?

やがて、そんな思いに駆り立てられていくことになる主人公の心の織りを
イーストウッドは、 あの素直でないキャラクターならではの
精一杯の優しさこもった毒づく台詞と実にシンプルなストーリーで私たちに見せながら
観客の心さえガッチリつかんでしまうのです。

しかし、人間の浅はかさを描くことも忘れてはいませんでした。
予感が的中したその瞬間、ああそれは、心を打ち砕かれるほど鮮烈な姿で
観客の目の前に突きつけられました。

「 目には目を。歯には歯を。 」
培ってきた経験が、疑わなかった信念が導く答えがすべて正しいとは限らない。
犯した過去の過ちが、悔い改めれば心が救われるとは限らない。
同じ肌の色だから、争わないとは限らない。

ウォルトが最後に神父の前で ひとつだけ懺悔しなかったこと も印象的です。
まるで、自分を赦さないことが忘れないことだ、といわんばかりに。
そこには、硫黄島2部作 を通じて “ 戦争 ” と向き合った
イーストウッドならではの人生観や宗教観が現れている気がします。

この作品は、本当に最後の最後まで、いろんなことを考えないではいられないのです。
終始ウォルトの苦悩は、まさしくイーストウッド自身の苦悩とシンクロしているかのようでした。

愛する者の未来のために、法の下、人間らしい生き方を貫く究極の選択をした主人公ウォルト。
その裏側にイーストウッドが込めたのは

“ 現役俳優 ” としての自分への執着と、スクリーンの中でどう決着をつけるのかー。

わたしはそう思わずにはいられませんでした。


スクリーンの中で、 銃を手に スターダムを駆け上がったイーストウッドが、

スクリーンの中で、 銃を置く その日を、まさかこの目で目撃してしまうことになるなんて!


ああ、なんという引き際でしょう! なんという最高の舞台を用意してくれたことか!
もうスゴイスゴイ凄すぎる。 この時点で滝のごとく号泣です。

“ 俳優クリント・イーストウッド ” の幕引きを、
“ ウォルト ” という “ 役 ” に重ねて葬った としか思えなかった。


すべてのファンのために、すべてのファンを納得させるため、
仕損じることのないよう 用意周到 な準備で挑んだ、二度はありえない完璧な一本勝負。

これを見事と言わずになんと表現したらいいのか。 本当に言葉がみつかりません。


スクリーンであの雄姿を見られるのは、もうこれが最後で間違いないでしょう。

悲しいはずなのに、寂しいはずなのに、エンドロールを見つめる瞳から
とめどなく頬をつたう涙の、なんとも温かかったことか。
例えようのない優しい希望の光に包まれる、不思議な不思議なエンディング・・・。
イーストウッドの一ファンとして、結末を見とどけられた満足感と安堵感。 
それは、わたしにとって至福の快感でもありました。





グラン・トリノ は、“ 俳優クリント・イーストウッド ” が、
悔いなき俳優人生に決着をつけた、忘れられない完璧なる一本。


長い間、ありがとう、ありがとう、クリント様。 スクリーンで観る貴方の姿は超最高でした。
そして本当にお疲れ様でした。
これからは、監督として素敵な作品を届けてください。 もちろん、まだまだ人生現役で!(笑)


→関連記事「硫黄島からの手紙」レビューへ



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テーマ : 映画感想 - ジャンル : 映画

21:04  |  アメリカ映画  |  Trackback(3)  |  Comment(10)

Comment

お久しぶりです

さすがCarolitaさん、復帰作はこれしかありませんね!

そして、素晴らしすぎる感想で、自分が書けなかったことをことごとく書いていただいた感じです。
読みながらまた熱いものがこみあげましたよ。

おっしゃるように、ほんとに完璧な1本なんですが、これで俳優は終わりではあまりに完璧すぎるので、そんなこと言ったっけ?と、知らぬ顔で『ダーティーハリー6』撮ってくれても何の文句もありません(笑)むしろそうして下さい!

TBもさせていただきました!
micchii |  2009.04.30(木) 10:23 | URL |  【編集】

micchiiさん、こんばんは!
TBありがとうございます。

おおっ、ご覧になりましたか!
これを観てしまったわたしの熱い思い(笑)がmicchiiさんに伝わってうれしいです。
もう~書きたいことがありすぎて筆が止まりませんでしたよ。

ははは!知らぬ顔で『ダーティハリー6』もいいですね!
しかもクリントさまならやっちゃいそうですし。
たぶんその時は、わたしも知らぬ顔で速攻観に行っちゃうと思います。(笑)
Carolita |  2009.04.30(木) 21:31 | URL |  【編集】

語りたくなる映画

お久し振りです。4周年&リニューアルおめでとうございます。お元気そうで嬉しいです。
昨日観てまいりました。私は彼の監督作品でこれが一番好きです。Carolitaさんのコメントが的確なので、それ以外の表現でブログを記すのが結構難しかったです(笑)。
リニューアルデザインが綺麗です。流石ですね。
kaoru1107 |  2009.05.02(土) 07:10 | URL |  【編集】

★kaoruさん、すっかりご無沙汰してしまいましたね。
この作品をきっかけに、やっとブログモード全開になってきました(笑)

コメントありがとうございます!
おお!さっそくご覧になられたのですねっ。
ええ、とてもストレートに伝わってくる作品で賞レースには無縁だったようですが、
わたしにとっては「記憶に残る大切な一本」になりました。

新テンプレート、気に入って頂けてうれしいです!これからも変わらず宜しくお願いいたします。
Carolita |  2009.05.02(土) 13:07 | URL |  【編集】

お久しぶりです!

すっかりご無沙汰してしまって・・・
お久しぶりです!
「グラン・トリノ」観てきましたよ~。
心に染みる良い映画でしたねー。
私もいっぱい泣けました。
切ない結末だけどやさしさが漂う・・・・
ラストの歌も良かったです。

4周年おめでとうございます!
これからも、のんびりおつきあい
よろしくお願いします!
ルナ |  2009.05.03(日) 01:53 | URL |  【編集】

★ルナさん、うわぁ~いらっしゃいませ!
こちらこそすっかりご無沙汰してしまってっ。

おお、やっぱりもうご覧になっていましたか!
そうそう、ラストのイーストウッド本人のヴォーカルも味があって温かくて良かったですよね~。
今回はイムズでの試写会鑑賞でしたが、次はどこかの劇場でもう一度観たいくらいです。

こちらこそ4年間のお付き合いありがとうございます。ええ、そうですね!のんびりでも変わらず宜しくお願いいたします!
Carolita |  2009.05.06(水) 22:48 | URL |  【編集】

おひさしぶりです

Caroli-taさん、こんにちは♪
私もようやく見て参りました。

ガンコジジイ、万歳です!
とにかくイーストウッドが格好良くって…!!
Caroさんのレビューを拝見して、改めてジーンとしちゃいました。
私は彼の監督作をあまり見ている訳ではないんですが、
その中では一番ストレートに心に響いた作品です。

ところで、4周年おめでとうございます!
これからもよろしくお願いしますね~。
Nyaggy |  2009.05.14(木) 12:55 | URL |  【編集】

★Nyaggyさんもご覧になられましたか!

ホントにガンコじじぃ万歳ですよね(笑)
今回はかなり力が入りまして、書きながら自分でウルウルしてました(笑)
そうそう、ストレートに心に響くという表現がぴったりで、
シンプルだからこそ忘れられない作品でしたね。

お祝いのお言葉ありがとうございます!
こちらこそこれからも変わらず宜しくお願いしますね~♪
Carolita |  2009.05.16(土) 15:30 | URL |  【編集】

なんの期待もせずぶらっと映画館へ足をはこんだのですが、すご~くいい映画でした。
さすがクリントイーストウッド。
最期は悲しい結末だったけど、なぜか爽やかな風がふきぬけていくような忘れられない映画になりそうです。今年上半期の映画のなかではベスト1かも。
ピスタチオ |  2009.09.02(水) 11:48 | URL |  【編集】

★ピスタチオさん、こちらもお返事遅くなってごめんなさいっ。

映画館でご覧になられたのですね!
期待していなかった映画がものすごーく心に染入ることってありますよね。
イーストウッドはわたしにとって、父の影響もあり子供の頃から馴染み深く、
思い入れの強い俳優のひとりなのですが、この作品は特に感慨深いものがありました。

そうなんですよ、見終わった後の、悲しいのに不思議な爽快感。
スクリーンを通して満足感というか達成感というか、
そんな感覚を覚えずにはいられない一本でした。
最近のハリウッドでは、いつまでも心に残る“ドラマ”がぐっと少なくなった気がします。
その一瞬楽しいだけでなく、何十年たっても何度見ても観客の心に残る
21世紀の“名作”が次の世代からもっと生まれるといいですね。
Carolita |  2009.09.07(月) 15:36 | URL |  【編集】

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2009/05/14(木) 12:42:03 | And life goes on
渋い! シブくて、カッコイイ! まるで、彼の生き様のようで 72年型のグラン・トリノが それを象徴しているようで…。 派手なアクションも 高額なCGも有名な俳優も 起用することなく これほど、心に迫る作品を 撮れるなんて・・・・ やはりイーストウッドは す...
2009/05/03(日) 01:54:17 | ルナのシネマ缶
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2009/04/30(木) 10:14:05 | 愛すべき映画たち

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