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『 バスを待ちながら 』

2009.07.18 (Sat)

山笠も終わったのに、いまだ梅雨が明けない北部九州。
青空が待ち遠しい今日は、 太陽の光 をたっぷり感じさせてくれる
こんな作品をピックアップしてみました。

バスを待ちながら8バスを待ちながら
( 2000年/キューバ・スペイン・フランス 
原題:LISTA DE ESPERA )
【監督】 フアン・カルロス・タビオ
【原作】 アルトゥーロ・アランゴ
【脚本】 フアン・カルロス・タビオ
    /アルトゥーロ・アランゴ/セネル・パス
【音楽】 ホセ・マリア・ヴィティエル
【出演】 ウラジミール・クルス
    /タイミ・アルバリーニョ
    /ホルヘ・ペルゴリア/アリーナ・ロドリゲス






監督は、ベルリン映画祭で銀熊賞 を受賞した 苺とチョコレート
フアン・カルロス・タビオ 氏。
とても素敵なキューバ映画と出合いました。
さて、それは・・・?


More・・・

物語の舞台は、海沿いの片田舎にある 小さなバス停留所(ターミナル)

町へ出る交通機関は、いつ来るかもわからない公共の乗り合いバスだけ。
古びた待合室は、今日もバスを待つ人々でごった返し、
そこへ、サンティアゴ行きのバスを探すエンジニアの エミリオ (ウラジミール・クルス)
荷物を抱えてやって来ます。

乗り場の行列の最後尾を訪ね歩く エミリオ は、
後からやって来た美しい娘・ ジャクリーン (タイミ・アルバリーニョ) に一目惚れ。
だけど彼女は、婚約者の待つハバナ行きのバスを探していたのでした。

一方、停留所では、せっかく修理した臨時バスが故障して、踏んだり蹴ったり。
ヤケになった停留所の所長は、とうとう待合所を一時閉鎖して乗客を帰そうとします。

仕方なく皆が散り散りになりかけた時、
エミリオ は、もう一度みんなでバスを修理しようと呼びかけ、乗客を引き止めるのですが・・・?

バスをまちながら20



カリブ海に浮かぶ 常夏の島国 ・ キューバ の田舎町では、
時刻表なんてあって無いようなもの。 
今度いつ来るかも知れないバスの座席を、我先にと奪い合うのは当たり前。
それでもバスに頼るしかない人々が、さまざまな土地から続々と集まってくるのが、
この、とびきり青い海が見える小さなバス・ターミナル。

長年勤めたエンジニアを辞め、農場に向かう者。 婚約者に会いに行く者。
目が不自由な者。 一人旅の若者。 倦怠期の熟年夫婦。 子供連れの家族。 
仕事で都会に荷物を運ぶ者。孫に会いに行く老夫婦。 田舎町を出たい若いカップル。 
息子のもとへ向かう未亡人・・・。

バスを待ちながら6


お互いにさまざまな事情を抱えていることなど知る由もなく
本当ならば、待合所でただすれ違うだけだったはずの乗客同士は、
“ 停留所 (ターミナル) ” でのハプニングをきっかけに
知恵を出し合って協力し、心の距離を縮めて“絆”を育んでいきます。

・・・と言うと、わりとありがちな展開に思えますが、ここからが本作品の奥深いところ。
物語の舞台が、 キューバ であることを忘れてはいけません。

もともと先住民たちがのどかに暮らしていたこの南の島を
大航海時代にスペイン人が植民地として支配しはじめたのは、15世紀後半のこと。

1900年代初頭には、独立戦争でかりそめの解放と自由を手にしたのも束の間、
その後もキューバの人々は、常に政治と利権が絡んだ他国の介入と
絶えず繰り返される革命や内紛といった激動の歴史に翻弄され続けました。

その結果、今も社会主義国家のもとに暮らす人々の生活の中には、
個人の意思よりも規律と協調を第一に重んじる思想と習慣 が根づいているように思えます。

しかし、監督が描いて見せてくれたのは、食を愛し、音楽を愛し、隣人をいたわる、
まるで、あの島に降り注ぐ太陽の光ように明るくて陽気な庶民の姿でした。

突然のスコールを体いっばいに浴びて、無邪気な子供のようにはしゃぐ者。
音楽が聴こえたら、手に手をとってサルサのリズムに身をまかせ踊りだす者。
ありあわせの料理でも、皆で食卓を囲む喜びを知っている彼らの、あの最高の笑顔・・・。

どの風景もちょっとコミカルで飾らない生活感がスクリーンの中に活き活きと溢れ出し、
小さなバスターミナルは、いつしか 彼らの夢を形にした理想の楽園 のように輝きだすのです。

バスを待ちながら5


ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ くらいしかキューバ映画を観たことがなかったわたしは
この作品をきっかけに、キューバは映画作りにとても力を入れている国だと知りました。

映画作りが盛んになったのは、1959年のキューバ革命以降のこと。
映画芸術産業庁 ( ICAIC ) という国立の機関を拠点に、
本作のフアン・カルロス・タビオ監督とともに 苺とチョコレート でメガホンをとった
名匠 トマス・グティエレス・アレア 監督など、
ラテンアメリカ映画界を代表する映画人を世界に輩出しているのだそうです。

一本の映画でその国のすべてを理解することはできませんが、
社会主義国家で暮らす人々が直面している現実 を垣間見ることはできます。

あっけらかんとした明るさとユーモアの中に、どこかやるせなさを感じさせる展開は、
抑圧された環境だからこそ生まれたキューバ映画ならではのピリッと辛いスパイスのよう。
壊れたものを修理して再建していく過程 も、倒れても何度も立ち上がった激動の歴史が、
庶民の気質となってたしかに今もスクリーンの中に脈々と息づいているようです。
映画の中で乗客たちが皆で力を合わせてひとつひとつ叶えた暮らしは、
もしかしたら、あの国に暮らす人々が心に秘めた、 ささやかな夢 だったのかも
しれませんね。


バスを待ちながら は、
カリブの楽園・キューバを舞台に、ひとときの “ シエスタ ” から生まれた愛の奇跡を
“ 現実 ” というスパイスをピリッと効かせて描いた、陽気でコミカルな心温まる意欲作。

わたしはCSの “ シネフィル・イマジカ ” で放送されたものを観ましたが、
残念ながら、今のところ日本版のDVDは発売されていないようです。
どこかで観られるチャンスがあれば、皆さんもぜひご覧になってみてくださいね。

人が渇きを潤す一杯の水を求めるように、
心の解放を映画に求めた野心あふれる貪欲さ、そして映画と真摯に向き合う姿勢は、
ぬるま湯の中で作られた娯楽に慣らされた観客の五感を大いに刺激してくれることでしょう。
キューバ映画 をあなどるなかれ!

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テーマ : ミニシアター系 - ジャンル : 映画

17:19  |  その他の国の映画  |  Trackback(0)  |  Comment(0)

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